サルコペニアと高齢者の健康

サルコペニアと高齢者の健康

サルコペニアとは

サルコペニアと高齢者の健康

-サルコペニアとは-

サルコペニアは、加齢とともに筋肉量が減少する状態です。筋肉量は、20歳をピークに徐々に減少していきます。サルコペニアは、加齢に伴う自然な現象と考えられていましたが、近年では、サルコペニアが健康に悪影響を及ぼすことがわかってきました。サルコペニアは、転倒や骨折のリスクを高め、日常生活動作の低下、さらには死亡率の上昇にも関連しています。

サルコペニアの症状

サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉量が減少する状態のことです。筋肉量の減少は、身体機能の低下やフレイル、要介護状態のリスクなどを高めることがわかっています。サルコペニアの症状としては、筋肉量の減少に伴い、筋力や握力の低下、歩行速度の低下、階段の上り下りが困難になる、転倒しやすくなるなどが挙げられます。また、サルコペニアは、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクも高めることがわかっています。

サルコペニアは、加齢に伴う自然な現象と考える人もいますが、近年では、筋肉量の減少は予防や改善が可能であることがわかってきています。筋肉量の減少を予防するには、適度な運動とバランスのとれた食事を心がけることが大切です。また、サルコペニアと診断された場合は、医師や理学療法士などの専門家の指導のもと、筋肉量を増やすための運動や食事療法を行うようにしましょう。

サルコペニアの原因

サルコペニアの原因は完全には解明されていませんが、加齢、栄養失調、身体活動量の低下、慢性疾患、遺伝的要因などが関連していると考えられています。加齢に伴い、筋肉量と筋力を維持することが難しくなり、サルコペニアのリスクが高まります。また、栄養が不足すると、筋肉を構成するタンパク質が合成されにくくなるため、サルコペニアにつながります。さらに、身体活動量が低下すると、筋肉が使用されなくなり、筋肉量が減少してサルコペニアを引き起こします。慢性疾患、特に糖尿病や慢性心不全などの病気があると、サルコペニアのリスクが高くなります。最後に、遺伝的要因もサルコペニアに関与していると考えられており、サルコペニアになりやすい人がいることがわかっています。

サルコペニアの予防と対策

サルコペニアは、筋肉量と筋力が低下する病態で、高齢者に多くみられます。筋肉量は、20歳代をピークに減少していきますが、サルコペニアでは、筋肉量の減少が顕著になります。サルコペニアは、転倒や骨折のリスクを高めたり、日常生活動作の自立が困難になったり、死亡率を上昇させたりするなど、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。

サルコペニアの予防と対策としては、バランスのとれた食事と適度な運動が重要です。食事では、タンパク質を十分に摂取することが大切です。タンパク質は、筋肉の材料となる栄養素で、1日に体重1kgあたり0.8～1.2gのタンパク質を摂取することが推奨されています。また、カルシウムやビタミンDも筋肉の健康に重要です。運動では、筋肉に負荷がかかるような運動が効果的です。筋力トレーニングやウォーキング、水泳などがおすすめです。適度な運動は、筋肉量や筋力を維持するだけでなく、転倒や骨折のリスクを減らす、フレイルの予防、生活の質の向上など、さまざまな健康上のメリットがあります。
さらに、サルコペニアの予防と対策としては、十分な睡眠をとることも大切です。睡眠中は、筋肉の修復が行われます。そのため、睡眠不足になると、筋肉が修復されにくくなり、サルコペニアのリスクが高まります。1日7～8時間の睡眠をとるように心がけましょう。

サルコペニアの治療

サルコペニアの治療は、基本的には食事療法と運動療法の組み合わせで行われます。食事療法では、タンパク質やビタミンDを多く含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。タンパク質は筋肉の材料となるため、筋肉量の維持や増加に不可欠です。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨を丈夫にする働きがあるため、サルコペニアによる骨折予防にも効果があるとされています。運動療法では、筋力トレーニングや有酸素運動を行うことが推奨されます。筋力トレーニングは、筋肉の力を強化し、有酸素運動は、筋肉の持久力を向上させる効果があります。これらの運動を定期的に行うことで、サルコペニアの進行を遅らせたり、改善したりすることが期待できます。また、薬物療法として、アンドロゲンや成長ホルモンなどの筋肉量を増やす薬が使用されることもあります。しかし、これらの薬は副作用のリスクがあるため、慎重に処方される必要があります。