被介護者の状態と共同運動

被介護者の状態と共同運動

共同運動の定義

共同運動とは、セラピストと被介護者が協力して身体を動かすアプローチのことです。 これは脳卒中やパーキンソン病などの神経系の障害により、運動機能が低下した被介護者に対して行われます。セラピストは、被介護者の動きをサポートし、自ら意志で身体を動かすよう促し、運動機能の向上を目指すリハビリテーション手法です。

共同運動には様々なタイプがあり、以下に代表的なものを示します。

・直立支援運動
セラピストが背後から被介護者の腰を支え、立たせる運動です。

・歩行訓練
セラピストが被介護者の手を引いて、一緒に歩行練習を行う運動です。

・上肢機能改善運動
セラピストが被介護者の手を握り、一緒に物を持ち上げたり、腕を曲げたり伸ばしたりする運動です。

セラピストは、被介護者の状態に応じた適切な運動を指導し、共同運動は運動機能を改善するだけでなく、被介護者の自信や意欲を高める効果も持っています。

共同運動の症状

-共同運動の症状-

共同運動は、複数の筋肉が同時に収縮することで発生します。症状は被介護者の状態により異なります。

筋緊張が強い場合
筋緊張が強い被介護者は、筋肉が常に収縮しているため、関節の可動域が狭くなり、筋肉が硬直します。このため、関節に負担がかかり、痛みが生じることもあります。

筋緊張が弱い場合
筋緊張が弱い被介護者は、筋肉が十分に収縮できず、関節をうまく動かせません。そのため、歩行や立ち上がりが困難になり、転倒のリスクが高まります。

随意運動が障害されている場合
随意運動は、自分の意志で筋肉を動かすことを指します。これが障害されている被介護者は、筋肉を自由に動かせず、動作が難しくなります。たとえば、麻痺のある被介護者は麻痺側の筋肉を動かせないため、歩行や立ち上がりが困難になります。

感覚障害がある場合
感覚障害を持つ被介護者は、関節の位置や筋肉の状態を正しく認識できません。そのため、関節を適切に動かすことができず、動作が難しくなります。たとえば、末梢神経障害のある被介護者は足先の感覚が低下しており、足先を正しく動かせず歩行が困難になります。

共同運動の原因

共同運動は、2人以上が同じ方向に動いたり、協力して目標に向かう運動です。これは介護者と被介護者の間でも見られます。

被介護者の状態が共同運動の要因になることがあります。たとえば、認知症の被介護者の場合、介護者がその動きを補助したり誘導したりする必要が出てきます。また、身体障害のある被介護者では、介護者が身体を支えたり動作を補助したりすることが求められます。

被介護者の精神状態も共同運動の原因となることがあります。不安や抑うつ状態にある場合、介護者が被介護者を安心させたり励ましたりする必要があるかもしれません。逆に、興奮状態にある場合、介護者がなだめたり制御したりすることが重要です。

介護者と被介護者の間で共同運動が行われると、介護者の負担が軽減され、被介護者の生活の質が向上する可能性があります。また、共同運動は介護者と被介護者の絆を深め、相互理解を促進する役割も果たします。

共同運動の治療法

共同運動の治療法

共同運動の治療法は、被介護者の状態によって異なります。たとえば、認知症の被介護者の場合は、記憶力や注意力の向上を目指すエクササイズが効果的です。また、身体機能が低下している場合は、筋力やバランス感覚を強化するエクササイズが有効です。

治療法は被介護者の状態に合わせて実施する必要があります。状態を把握し、適切なエクササイズを選ぶことが重要です。また、共同運動は継続することが大切で、週に数回の実施が効果を期待できます。

共同運動は被介護者の状態を改善し、生活の質（QOL）を向上させることができます。さらに、介護者の負担軽減にも寄与します。介護者は共同運動を通じて被介護者とのコミュニケーションを深め、状態を把握することができ、介護計画を立てやすくなります。

共同運動の予防法

共同運動の予防法

共同運動は、介護者が被介護者の身体を無理に動かすことを指します。これにより、転倒や骨折のリスクが高まり、被介護者の痛みや不快感を悪化させる可能性があります。

共同運動の予防には、以下の点に注意が必要です。

* 介護者が被介護者の身体を動かす際は、必ず同意を得ること。
* 身体を動かす際は、ゆっくりと丁寧に行うこと。
* 痛みや不快感を悪化させないように注意すること。

また、介護者が身体を動かす場合は、以下の点にも留意してください。

* 介助用具を使用すること。
* 介護者自身の身体の負担を考慮すること。
* 介護者自身の安全にも気をつけること。