看護の現場から被介護者の健康維持に挑戦『EBM』を学ぼう！『根拠に基づいた医療』とは？

看護の現場から被介護者の健康維持に挑戦『EBM』を学ぼう！『根拠に基づいた医療』とは？

EBMとは？

EBMとは、「Evidence-Based Medicine」の略であり、「根拠に基づく医療」のことです。医療の意思決定において、現在の最善の証拠を慎重に、明示的に、かつ合理的に適用することで、患者のケアを向上させることを目的としています。

EBMは、1990年代に英国の医師アーチー・コクラン氏が提唱した概念で、それまで医師の経験や勘に頼っていた医療の意思決定に、科学的な根拠を導入することを目指したもの。現在では、医療の意思決定において不可欠なツールとして世界中で広く普及しています。

EBMは、患者さんの状態や希望を考慮した上で、最新の科学的証拠に基づいて治療方針を決定することを意味します。つまり、医師個人の経験や勘に頼るのではなく、科学的な根拠に基づいて治療方針を決定するということです。

EBMの歴史と現状

EBMの歴史と現状

EBMは、1990年代にカナダの医師アーチボルト・コクラン氏によって提唱された医療の新しい考え方です。コクラン氏は、それまでの医療は、医師の経験や勘に頼るものが多く、科学的な根拠に基づいていないことが多いと指摘しました。そのため、医療の質を向上させるためには、科学的な証拠に基づいた医療を行う必要があると主張したのです。

EBMは、その後、世界各国に広がり、現在では医療の標準的な考え方となっています。日本では、2000年に厚生労働省が「EBMに基づく医療の推進について」という通知を発出し、EBMの導入を推進しています。

EBMの導入により、医療の質は大きく向上しました。例えば、胃潰瘍の治療では、従来は胃酸を抑制する薬が広く使われていましたが、EBMの研究により、胃潰瘍の原因菌であるピロリ菌を殺菌することが有効であることがわかり、胃潰瘍の治療法は大きく変わりました。

EBMは、医療の質を向上させるのに役立つだけでなく、医療費の削減にもつながっています。例えば、腰痛の治療では、従来は手術が行われることが多かったのですが、EBMの研究により、手術よりも保存療法の方が有効であることがわかり、腰痛の治療費は大幅に削減されました。

EBMは、医療の質と医療費の削減に役立つ、医療の新しい考え方です。今後、EBMはさらに普及し、医療の質をさらに向上させることが期待されています。

看護におけるEBMの活用

看護におけるEBMの活用

EBMは、看護の実践に関連する疑問や問題を解決するために、最新の研究結果を活かして、看護ケアを提供することです。具体的には、患者の状態を評価し、看護ケアの目標を立て、適切な看護ケアを選択し、提供し、評価するというプロセスで行われます。EBMは、看護ケアの質を向上させ、患者のアウトカムを改善するために有効であることが示されています。

EBMを活用することで、看護師はより根拠のある看護ケアを提供することができるようになります。根拠のある看護ケアとは、最新の研究結果に基づいて行われる看護ケアであり、患者のアウトカムを改善することが期待できます。看護師は、EBMを活用することで、患者の状態や看護ケアについてより深く理解することができるようになり、より適切な看護ケアを選択することができるようになります。また、EBMを活用することで、看護師は看護ケアの質を向上させるために必要な知識やスキルを身につけることができます。

EBMは、看護の実践に不可欠な考え方です。看護師は、EBMを活用することで、より根拠のある看護ケアを提供することができ、患者のアウトカムを改善することができます。

EBMを学ぶメリットと実践方法

-EBMを学ぶメリットと実践方法-

EBMを学ぶことは、看護師の専門性を高め、より質の高いケアを提供するために不可欠です。 EBMを学ぶことで、看護師は最新の科学的根拠に基づいてケアを提供することができ、患者の安全と満足度を高めることができます。また、EBMは看護師の意思決定をサポートし、ケアの質を向上させるのに役立ちます。

EBMを実践するためには、まず科学的根拠を理解する必要があります。 これは、看護研究や臨床試験などの科学的文献を読み、科学的根拠を評価するスキルを身につけることで可能になります。また、EBMを実践するためには、患者や家族とコミュニケーションをとるスキルも必要です。これは、患者のニーズや価値観を理解し、EBMに基づいたケアを患者や家族に説明することができるようになるためです。

EBMを実践することにより、患者の安全と満足度が高まり、ケアの質が向上します。また、EBMを実践することで、看護師の専門性が向上し、患者の信頼を得やすくなります。さらに、EBMを実践することで、看護師のモチベーションが高まり、看護の仕事にやりがいを感じることができるようになります。

EBMの限界と課題

EBM（エビデンスに基づく医療）は、医療従事者が意思決定を行う際に、科学的な証拠を重視することを目的としたアプローチです。しかし、EBMにも限界や課題があり、その一つが、エビデンスが常に利用できるわけではないということです。例えば、新薬や治療法が開発されたばかりの場合、その有効性や安全性に関するエビデンスが十分に揃っていないことが多く、EBMに基づいた意思決定を行うことが困難になります。

また、EBMは個々の患者に合わせてカスタマイズすることが困難です。EBMは、一般的に大きな集団を対象とした研究結果に基づいており、個々の患者の特性を考慮することが難しいのです。そのため、EBMに基づいた意思決定を行った結果、その患者にとって最適な治療法にならない可能性があります。

さらに、EBMは医療費の上昇を招く可能性があります。EBMは、最新の医療技術や治療法を積極的に取り入れることを奨励するため、医療費が上昇する可能性があります。また、EBMに基づいた意思決定を行うためには、医療従事者が十分な知識とスキルを身につける必要がありますが、そのための教育や研修には多額の費用がかかります。