鼻腔栄養とは？種類や方法、注意点について

鼻腔栄養とは？種類や方法、注意点について

鼻腔栄養とは何か？

鼻腔栄養とは、鼻から胃まで細いチューブを挿入し、栄養食を流し込む方法です。経口摂取が困難な方や、消化器系の疾患などで栄養を十分に摂取できない方に対して行われます。鼻腔栄養には、長期にわたって栄養を供給する「長期鼻腔栄養」と、短期間の栄養補給を行う「短期鼻腔栄養」の2種類があります。長期鼻腔栄養は、胃瘻や腸瘻などの外科的手術を必要とせず、比較的簡便に施行できるため、在宅での栄養管理にも適しています。短期鼻腔栄養は、術後の回復期や、急性疾患による一時的な栄養摂取困難な状態にある方に対して行われます。

鼻腔栄養の種類

鼻腔栄養法には、経鼻経管栄養法と経鼻胃管栄養法の2種類があります。いずれも鼻から栄養剤を注入する点では同じですが、使用するチューブの種類が異なります。

経鼻経管栄養法は、鼻から挿入したチューブが食道を通過して胃まで到達するまでを指すため、経口摂取が困難な場合でも、消化管が正常に機能していれば利用可能です。経鼻経管栄養法は、一時的な栄養管理や、経口摂取が困難な場合に長期的に利用されることがあります。

経鼻胃管栄養法は、胃に直接チューブを挿入して栄養剤を注入する方法です。經鼻経管栄養法と比べてより安全な方法ですが、より侵襲的であり、長期的に使用する場合には胃の壁に損傷を与える可能性があります。経鼻胃管栄養法は、経口摂取が不可能な場合や、経鼻経管栄養法が適用できない場合に利用されます。

鼻腔栄養の方法

鼻腔栄養の方法は、大きく分けて2つあります。一つは、鼻の片方の鼻孔から胃まで直接チューブを入れる経鼻栄養法です。もう一つは、鼻の粘膜に小さな穴を開けてチューブを入れる経皮経鼻栄養法です。

経鼻栄養法は、比較的簡単な方法ですが、鼻の粘膜を傷つけやすいため、長期的な使用には向いていません。経皮経鼻栄養法は、鼻の粘膜を傷つけずにチューブを入れることができるため、長期的な使用に適しています。

どちらの方法も、医師や看護師が実施します。実施にあたっては、まず鼻の穴を消毒し、チューブを鼻の粘膜に沿ってゆっくりと胃まで入れます。チューブの先端には、胃液の逆流やチューブの詰まりを防止するためのバルーンが付いています。

チューブが胃に入ったら、チューブの先端を固定し、栄養剤を注入します。栄養剤は、専用のポンプを使ってゆっくりと注入します。注入時間は、1時間程度です。注入後は、チューブを水で洗い、バルーンを膨らませた状態で固定します。

鼻腔栄養の注意点

鼻腔栄養を実施する際には、いくつかの点に注意する必要があります。まず第一に、鼻腔栄養チューブは鼻孔から胃まで挿入されますので、鼻腔や咽頭、食道の粘膜を傷つけないように慎重に操作する必要があります。とくに、鼻腔内に腫瘍やポリープ、潰瘍などの病変がある場合は、挿入前に医師の診察を受け、安全性を確認する必要があります。

第二に、鼻腔栄養チューブは長期にわたって使用すると、鼻腔粘膜を刺激して出血や潰瘍を形成することがあります。そのため、定期的にチューブの位置を調整したり、交換したりすることが必要です。また、鼻腔粘膜を保護するために、専用の潤滑剤や軟膏を塗布することも有効です。

第三に、鼻腔栄養により栄養を摂取すると、誤嚥のリスクが高まります。誤嚥とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことで、肺炎や窒息を引き起こす可能性があります。そのため、鼻腔栄養を実施する際には、患者の誤嚥リスクを評価し、誤嚥予防策を講じる必要があります。誤嚥予防策としては、患者を座位または半座位にして食事をとらせたり、食事中に十分な水分を摂取させたりすることが挙げられます。

鼻腔栄養の合併症

鼻腔栄養の合併症

鼻腔栄養は、栄養が鼻から口内を経由せずに直接胃まで届くようにする方法ですが、いくつかの合併症のリスクもあります。最も一般的な合併症は、鼻腔出血、鼻閉、鼻の痛みです。これらの症状は通常、鼻腔栄養チューブを挿入または除去するときに発生します。また、鼻腔栄養チューブが誤って挿入されると、気道閉塞や肺炎を引き起こす可能性があります。さらに、鼻腔栄養チューブが長期間挿入されていると、感染症や圧迫性潰瘍を引き起こす可能性があります。鼻腔栄養チューブを挿入する前に、医師または看護師に合併症のリスクについて話し合うことが重要です。