認知症とは?その言葉と痴呆症の関係について

介護の初心者
先生、『認知症』について教えていただけますか?

介護スペシャリスト
『認知症』という用語は、以前は『痴呆症』として表現されていましたが、現在では『認知症』が主に使われています。『痴呆』には否定的な意味合いがあるため、使用が避けられるようになりました。

介護の初心者
なるほど、なぜ『痴呆症』には否定的な意味合いがあるのでしょうか?

介護スペシャリスト
『痴呆』という言葉は、認知症を持つ人を軽蔑する意味で使われることが多かったため、現在では『認知症』という表現が一般的になりました。
認知症とは。
認知症とは、脳の機能が低下し、記憶や思考、判断力などが障害される病気のことを指します。『痴呆症』という言葉は古いものであり、現在はほとんど使用されていません。
認知症とは何か?

認知症とは、脳の機能が低下し、記憶力、思考力、判断力などの認知機能に障害が生じる病気の総称です。多くの場合、加齢に伴う脳の機能低下によって発症しますが、脳卒中や脳腫瘍、外傷などの脳の損傷によっても起こることがあります。
認知症には、アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型などの種類があります。アルツハイマー型は、最も一般的なもので、神経細胞の死滅により脳が萎縮する病気です。血管性認知症は、脳卒中によって血管が障害されることで発症します。レビー小体型認知症は、異常なたんぱく質が脳に蓄積されることが原因です。前頭側頭型は、前頭葉と側頭葉が萎縮する病気です。
認知症との関係は?

認知症は、記憶、思考、判断、言語、問題解決などの認知機能が低下する症候群です。 認知症は痴呆症の一種ではありますが、痴呆症が認知症の一部ではありません。痴呆症は、認知機能の著しい低下により日常生活に支障をきたす状態を指します。一方、認知症は、軽度または中等度の認知機能の低下が見られ、日常生活には影響しない状態です。
痴呆症と認知症は、どちらも認知機能の低下が特徴ですが、その重症度に違いがあります。痴呆症は重度の低下を示し、日常生活に影響を及ぼしますが、認知症は軽度または中等度の低下で、日常生活には支障をきたしません。
痴呆症の原因には、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあり、アルツハイマー病は全体の約60~70%を占めています。血管性認知症は約10~20%、レビー小体型は約5~10%、前頭側頭型は約5%を占めています。
痴呆症の治療は、進行を遅らせたり、症状を軽減したりすることを目的としています。アルツハイマー病にはアリセプト、レミニール、ミドリフなどの薬物が使用され、血管性認知症には血圧やコレステロールを管理する薬物が用いられます。レビー小体型認知症には幻覚や妄想の症状を和らげる薬が使われ、前頭側頭型には特効薬はありません。
侮蔑的なニュアンスとは?

侮蔑的なニュアンスについて
「痴呆症」という用語は、認知機能の低下を示す神経変性疾患を指す正確な医学用語ですが、一部の人々には侮蔑的な響きを持つことがあります。
「痴呆症」という言葉は、かつて「精神薄弱」や「精神障害」を意味する言葉として使われていたため、認知症の人々に対する否定的なイメージが根強く残っています。
この言葉に対する拒否感は、無知や偏見、または個人的な経験やトラウマから生じることがあります。たとえば、認知症の家族や友人を介護した経験がある人々は、「痴呆症」という言葉に対してネガティブな感情を持ちがちです。
また、「痴呆症」という言葉が医学用語であるにもかかわらず、ネガティブな意味合いが強いため、使用を避けるべきだと考える人もいます。
使用されなくなった理由

痴呆という言葉は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、認知症の一般的な用語として使用されていましたが、現在はほとんど使われていません。『認知症』という用語が導入されたのは、痴呆に強い否定的な意味があったためで、侮辱や差別につながる可能性があったからです。また、痴呆は認知症の一種であるアルツハイマー病と混同されることが多く、より包括的な『認知症』という用語が使用されるようになりました。
認知症は、記憶や思考、判断力などの認知機能が低下する状態であり、アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症など、様々な原因で発症します。認知症は加齢に伴う自然な変化ではなく、病気であることが広く認識されるようになりました。また、高齢化が進む中で、認知症の患者数が増加することが予想され、その予防と治療法の開発が求められています。
認知症の現状と課題

認知症は、記憶、理解、思考などの認知機能が低下する状態であり、特に高齢者に多く見られます。日本では推定462万人が認知症を抱えているとされています。認知症にはアルツハイマー型や脳血管性、レビー小体型などの種類があります。
認知症は高齢化社会の重要な課題となっており、患者の数は年々増加しています。2025年には700万人に達すると予測されており、これにより患者自身だけでなく、家族や介護者にも大きな負担がかかります。
現在、認知症の治療法は確立されていませんが、進行を遅らせたり、症状を和らげたりする薬物治療や、脳機能を維持するためのリハビリテーションが行われています。加えて、予防のためには健康的な食生活、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの回避が重要です。
今後、認知症はますます社会問題となることが予想されます。正しい理解と予防・治療への取り組みが求められています。
